助けた人の人生に、どこまで責任を持ちますか?

こんにちは、矢場田です。
京都で「安心安定のカウンセラー起業®」の リアル実践会を開催しました。
朝は鞍馬寺へ。 本殿の地下に漂う厳かな空気に、 ピリッと背筋が伸びるような時間を過ごしました。
そして実践会では、 浦沢直樹さんの漫画『MONSTER』を題材に、 カウンセラーとしての生き方を考えました。
『MONSTER』は、医師・天馬が命を救った少年が、 後に多くの人を傷つける存在だったと分かる物語です。
「自分が助けたから、こんなことに……」 と苦悩する天馬。
助けた相手の行動に、どこまで責任を負うのか。
今回は、この問いを、 カウンセラーとしての自分に引き寄せて考えました。
自分の関わり方には責任を持つ
誰かを支えていると、
「あの言葉を伝えてよかったのだろうか」
「相手が変わらないのは、自分の力不足だろうか」
「関わった以上、最後まで何とかするべきだろうか」
そんな思いが浮かぶことがあるかもしれません。
そのときに大切にしたいのが、 自分の中に、責任の線引きを持つことです。
まず、自分の関わり方には責任を持つ。
相手の話を十分に聴いたか。 事情をよく知らないまま、助言していなかったか。 本人の迷いを置き去りにして、 自分がよいと思う選択を勧めていなかったか。
こうしたことは、振り返る必要があります。
「よかれと思って言った」
「励ましたかった」
その気持ちと、相手にどう届いたかは、 必ずしも同じではないからです。
例えば、こんな場面を想像してみてください。
「もっと自分を大切にしていいんですよ」
そう伝えた相手が、 「それなら、もう我慢せず、何を言ってもいいんだ」 と受け取り、家族を強い言葉で傷つけてしまった。
そのとき、 「そんなつもりで言ったのではありません」 で終わらせず、
「あの言葉を、どんな意味で受け取りましたか?」
と確かめる。
自分の説明が足りなかったなら、 そこは認めて、伝え直す。
私たちが責任を持てるのは、 こうした、自分の関わりを確かめ、 修正していくことだと思います。
気持ちを受け止めることと、行動に賛成することを分ける
ここで、もう一つ大切なのが、 相手の気持ちを受け止めることと、 相手の行動に賛成することを分けることです。
「ずっと我慢してきて、苦しかったんですね」
と気持ちに寄り添いながら、
「その苦しさを、相手を傷つけずに伝える方法を、 一緒に考えていきましょう」
と話すことはできます。
苦しかったという気持ちを大切にする。 そして、誰かを傷つけた行動についても、一緒に考える。
この二つを、同時に持っていたいのです。
相談者さんを大切にしたいあまり、 言うことすべてに賛成しなければ、と思ってしまうと、 必要な問いを投げかけにくくなることがあります。
「そうすることで、あなたはどうなりそうですか?」
「相手には、どんな影響がありそうですか?」
「ほかに選べる方法はあるでしょうか?」
本人が自分の行動を考えられるように、 問いを置くことも、大切な関わりです。
相手の人生まで背負わない
一方で、相手が何を選び、 どのように生きるかを、 私たちがすべて決めることはできません。
ここを混ぜてしまうと、 「相手が変わるまで、自分の仕事は終わらない」 となってしまいます。
何度でも面談を延ばす。 夜遅くても、すぐに返信する。 相手が動かないと、こちらが焦って説得する。
そんなときは、一度立ち止まって、
「今、私は何を引き受けようとしているのだろう?」
と、自分にも問いかけたいですね。
「私が何とかしなければ」という思いが強くなると、 本人が考える時間や、こちらとは違う道を選ぶ余地を、 狭めてしまうこともあると思います。
支えたい気持ちが、 「私の望むように変わってほしい」 になっていないか。
ここは、私たち自身が確かめ続けたいところです。
相手には、相手の人生があります。 考える時間も、迷う時間も、その人のものです。
自分が期待した変化が起きなかったことだけで、 関わりのすべてが失敗だったとは決められません。
罪悪感と責任を分けて考える
同じように、 罪悪感があるからといって、 起きたことのすべてが自分の責任だとも限りません。
天馬は、少年の未来を知っていて助けたわけではありません。
私たちも、後から分かった結果だけで自分を裁かず、 そのとき何を知り、何を伝え、 どんな関わりをしたのかを、具体的に振り返る。
「全部、自分のせいだ」と思ったときほど、 分けて考えることが大切です。
自分がどう関わったか。 相手自身が何を選んだか。 そして、今、何ができるか。
例えば、自分の助言に問題があったなら、修正する。 自分の経験や専門の範囲を超えているなら、相談する。 危険が分かったなら、適切な専門機関と連携する。
責任の線引きは、 その場を離れる理由を探すことではなく、 自分が担うことと、ほかの人の力が必要なことを、 はっきりさせるためにあります。
責任の線引きを、相手にも伝える
そして、自分の中で決めた線は、 相手にも分かる形で伝えておくことが大切です。
相談できる時間。 連絡への返信の目安。 自分が提供できる支援の範囲。
「どこまででも助けます」と約束する前に、 実際に続けられる関わりを、具体的に伝える。
それが、お互いの安心にもつながると思います。
今日、考えてみてほしい一文
よかったら、今日、この一文を考えてみてください。
「私は、____までは責任を持つ。
しかし、____までは背負わない。」
例えば、
「私は、誠実に話を聴き、 自分の言葉や関わりを振り返る責任を持つ。 しかし、相手が必ず変わることや、 その後の人生すべてまでは背負わない。」
書けたら、もう一つ。
「一人では抱えきれないとき、誰に相談するか」
ここまで考えておくと、 責任の線引きが、実際の行動につながります。
誠実に関わり続けるために
カウンセラーとして、 自分の言葉には責任を持ちたい。 相手が自分で考え、選ぶ力も、大切にしたい。
そして、自分自身の暮らしも守りながら、 誠実に関わり続けていきたい。
『MONSTER』を通して、 そんな支援のあり方を考える時間になりました。
あなたは、どこまで責任を持ち、 どこから先は背負わないと決めますか?
追伸:濃い京都の一日でした
実践会では、個別相談やPC作業にも取り組み、 それぞれが自分の起業を一歩ずつ進めました。
その後の懇親会は、話が盛り上がり、 気づけば喉がガラガラ。
そこから、さらにカラオケへ(笑)。
B’z、玉置浩二、レミオロメン、中森明菜と、 しっぽり歌ってきました。
学んで、手を動かして、語って、歌って。 濃い京都の一日でした。
ご参加のみなさん、ありがとうございました!